Kaggle-分析環境を整える-

セットアップ,環境


まずはこの7行でセットアップ

Notebookを整える、最初の7行

Kaggleやデータ分析のNotebookを開くと、最初のセルにたいてい見かけるのがこの一文です。

# ==========================================
# 🌍 Data Analysis Starter Pack
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import numpy as np
import pandas as pd
import seaborn as sns
import matplotlib.pyplot as plt
import plotly.express as px
import missingno as msno
import os, warnings

このたった数行が、分析のすべてを支える“準備運動”です。
まだモデルもグラフも出てこないけれど、ここをどう書くかでNotebookの流れが変わります。

この記事では、この「Data Analysis Starter Pack」に込められた意味を一つひとつ紐解きながら、
どんなプロジェクトにも使い回せる“分析の立ち上げ方”を紹介します。


1. なぜ最初に「import」から始まるのか

Pythonの世界では、importは「必要な道具を棚から取り出す」という宣言です。
Python本体は意外とシンプルで、電卓のような計算しかできません。
データを扱う、グラフを描く、統計をとる——それらはすべてライブラリを追加して初めて可能になります。

Notebookの最初のセルで道具を並べるのは、
いわばキッチンに包丁や鍋を並べるようなもの。
ここでの整え方が、そのあとの作業スピードや安定感を左右します。


2. importセルを“整える”という文化

Kaggleや分析コミュニティでは、最初のimportセルを丁寧に整える人が多いです。
それは単なる見た目の問題ではなく、再現性と安心感のため。

Notebookを久しぶりに開いたとき、最初のセルを実行するだけで環境が整う。
チームで共有するときも、「このセルを動かせば全部入るよ」と言える。
それが分析者にとっての“小さな礼儀”でもあります。


3. Starter Pack の構成を見てみよう

上のスターターセルを見てみましょう。
実は、この短いコードの中に分析の基本ステップ全部が隠れています。

分析フェーズ担当ライブラリ主な役割
計算・処理NumPy数値計算の基盤
データ操作Pandas表形式データの扱い
可視化(静的)Matplotlib / Seaborn見やすいグラフを描く
可視化(動的)Plotly触って動かせるグラフ
欠損確認Missingnoデータの穴を見つける
環境管理os / warningsファイルと警告の整理

順に見ていきましょう。


4. NumPy ― 数字を自在に操るための基礎体力

import numpy as np

NumPy(ナンパイ)は、Pythonで数を扱うなら欠かせない存在です。
高速なベクトル計算や統計処理を支え、あらゆる分析ライブラリの“下支え”をしています。

例えば、平均値や標準偏差を求めるのも一瞬。
2次元の行列計算や、データのスケーリングなども得意分野です。

PandasやScikit-learnの内部でもNumPyが動いているため、
「見えないところで分析全体を支える筋肉」と言えます。


5. Pandas ― データを“表”として読み解く

import pandas as pd

Pandas(パンダス)は、データ分析の中心に立つライブラリです。
CSVやExcelを読み込み、行と列を持つ「DataFrame」という形で扱えるようにします。

このDataFrameは、まさにPython版のスプレッドシート。
列名で抽出し、条件で絞り込み、平均をとり、グループ化する──
そんな操作を、数行のコードでこなせます。

Titanicでも、Pandasでデータを読み込んで
「どんな列があるか」「どこに欠損があるか」を確認するのが最初の一歩です。


6. Seaborn & Matplotlib ― データを“見て理解する”

import seaborn as sns
import matplotlib.pyplot as plt

数値を眺めているだけでは見落としてしまう関係性があります。
グラフにすることで、データは一気に語り出します。

Matplotlib

Pythonで最も基本的な描画ライブラリ。
細かい調整が効くので、論文やレポートでもよく使われます。
少しコードは長くなりますが、表現力は抜群です。

Seaborn

Seabornは、Matplotlibの“デザイン係”。
テーマカラーや見やすいレイアウトがあらかじめ整っており、
数行で綺麗な可視化ができます。

sns.histplot(df['Age'], kde=True)
plt.title('Age Distribution')

これだけで年齢分布を示すヒストグラムが完成します。
グラフを描くたびに「データが何を伝えようとしているのか」が見えてくるでしょう。


7. Plotly ― 動くグラフで洞察を広げる

import plotly.express as px

Plotlyは、マウス操作で動かせる“インタラクティブ可視化”ライブラリです。
棒グラフをクリックして展開したり、マウスを重ねて値を確認したりできるのが特徴です。

Notebookで発表資料を作るときや、データ探索を共有するときに非常に便利。
Seabornが「見るためのグラフ」なら、Plotlyは「触って理解するグラフ」です。

fig = px.scatter(df, x='Age', y='Fare', color='Sex', size='Pclass')
fig.show()

視覚的にも楽しく、洞察が自然と深まるツールです。


8. Missingno ― 欠損を“見える化”する

import missingno as msno

欠損値(NaN)は、どんなデータにも必ず現れます。
けれど、数値で眺めているだけではどこに穴があるのか分かりづらい。

missingnoを使えば、欠損の分布を一目で確認できます。

msno.matrix(df)

これだけで、どの列にどれくらい欠損があるのかが一瞬でわかる。
白い帯が「データの空白地帯」です。
分析の初期にこの可視化を一度挟むだけで、後の前処理がスムーズになります。


9. os & warnings ― Notebookを快適に保つ裏方

import os, warnings

os

ファイルやフォルダを操作するための標準ライブラリ。
Kaggle環境では/kaggle/input/内のファイル一覧を確認したり、
作業ディレクトリを移動するのに使います。

for dirname, _, filenames in os.walk('/kaggle/input'):
    for filename in filenames:
        print(os.path.join(dirname, filename))

warnings

Notebookでよく出る警告を抑制できます。
古いバージョンの関数を使うときや、可視化ライブラリで警告が出るときに役立ちます。

warnings.filterwarnings('ignore')

この一行を入れておくと、Notebookの出力がすっきり見やすくなります。


10. 自分だけの「分析ベース」を持とう

データ分析は、いつもゼロから始めるわけではありません。
よく使うツールをセットにしておくことで、
新しいプロジェクトに取りかかるときの“立ち上がりコスト”がぐっと下がります。

Notebookを開いて、最初にこのセルを実行する。
するとすぐに使い慣れた環境が立ち上がり、
「あ、これだ」と安心して分析に集中できる。
その状態をつくるのが、このStarter Packの目的です。


11. まとめ ― 最初のセルが整うと、心も整う

Notebookの1行目から整っていると、不思議と気持ちも落ち着きます。
データ分析は集中力と観察力の仕事。
余計なノイズを減らし、心地よいリズムで進める環境を整えることが、
最初のステップです。

今回紹介したスターターセルは、Titanicのような入門コンペから、
実務のデータ解析、研究レポートづくりまで、幅広く使えます。

分析のたびにこの数行を打ち込むたび、
「よし、始めよう」と心が切り替わる。
その感覚こそが、データサイエンスの楽しさの第一歩です。